論理と情緒と情熱と。

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A.T.カーニーのES解説から考える戦略コンサルのESの書き方

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今年はスプリングもジョブをするのでしょうか、戦略コンサルティングファームのA.T.カーニーです。去年は「スプリング採用」とかいって面接とGDだけでしたからねー。ジョブするのでしょうか。
カーニーは割と常駐型の案件が多いのですが、それって結局上流から中流に業務が移ってきているってことですからね。知り合いの先輩が「戦略やりたくて入ったのに業務コンサル的な仕事が多い(泣)」とか言ってたらしいですし。まあ、それは業界全体に言えることなんでしょうけど。


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一般的なESの書き方はこちらです。

【学歴別】ES(エントリーシート)の考え方 - 論理と情緒と情熱と。
ESをわかりやすい構成で書くコツ「状況・複雑化・疑問・答え」(考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則) - 論理と情緒と情熱と。


それでは、A.T.カーニー14卒スプリング採用のESです。

  • ◆設問1:あなたの出身の都道府県または市町村(東京の場合は23区でも可、以下同様)が抱える課題のうち、

 あなたが解決してほしいと考えるものを1つを書いてください(40文字以内)
※出身が海外の場合は、現在居住の都道府県または市町村としてください
※都道府県か市町村かの選択は任意です
※記入にあたっては、文頭に対象としている都道府県名または市町村名を明示してください

  • ◆設問2:上記の課題を踏まえ、あなたが出身の都道府県知事選挙または市町村長選挙に出馬するとしたら、

 何を公約として掲げ、どのようにその課題を解決するかを書いてください (500文字以内)

  • 設問3:特筆すべきインターン経験があればご記入下さい(50文字以内)
  • 設問4:特にアピールしたいアルバイトのご経験、ポジションがあればご記入下さい(50文字以内)

これは完全にケース問題になってますね。大きなテーマで取り組みにくいお題だとは思いますが、コンサルを目指していてケース問題の練習をしていた人にとってはどう解いたらわからないということはないでしょう。

ケース問題についてはこちら
ケース面接には二種類ある。その概要と対策。 - 論理と情緒と情熱と。

基本的にはこの記事で紹介している問題解決のフレームワークを用いて書くことになります。

面接やES全てにつながる本質的な自己PRの考え方後編:ー効果的な自己PRの構造ー - 論理と情緒と情熱と。


このESによって採用担当が見たいのは、おそらく2つのこと。問題解決のフレームワークに則って考えることができるかということと、問題の切り口や課題の設定のセンスです。

問題解決のフレームワーク

これは上の記事でも紹介しましたし、関連書籍がたくさんあります。

コンサルをめざすくらいなら、それ相応の準備くらいしてるよね?ロジカルシンキングの基礎くらい身につけているよね?と確認したいのです。所詮スキルですし、このフレームワーク自体は練習すればできるものですから。

問題の切り口や課題の設定のセンス

一方で、「どういう風に課題を設定するか」や「構造分解の切り口」、「ロジックツリーを作るときの分け方・軸」というのは必ずしもロジカルであればできるというものではありません。当該分野での知識も必要になってきますし、膨大な知識と経験に裏付けされた勘やセンスみたいなものがあると筋の通った設定ができるものです。

今回の場合でも「そもそも問題に何を選ぶか」「選んだ問題のボトルネックを特定するのにどのような切り口を用いるのか」ということにそのようなセンスが表れてくるのです。

例えば、「電子書籍の市場規模を増加させる施策を考案せよ」というお題に対して、「誰が施策を実行するか」とうい主体を考えるときに、政府や地方自治体を設定するのは筋が悪いと言えます。市場規模という広範な概念を用いていますが、そもそも政府が電子書籍の市場規模を増加させようとすることが現実的でしょうか。それを推進することで政府がクリティカルなメリットを享受するわけではありませんので、実際に政府がこれを行うということはなさそうです。そう考えたときに、施策の主体は例えば芸能事務所だったり、Amazonだったり、ディスク作ってる電機メーカーを選択した方が妥当だと言えます。

このように、戦略コンサルのESでは、一般のESで求められることに加えて。ロジカルさとセンスが加わるのです。

回答例

最後に、ES通過した知人から都道府県名を付せるという条件で掲載許可をもらったので、今回はESの回答例を載せますので、参考にしてください。

  • ◆設問1:あなたの出身の都道府県または市町村(東京の場合は23区でも可、以下同様)が抱える課題のうち、

 あなたが解決してほしいと考えるものを1つを書いてください(40文字以内)
※出身が海外の場合は、現在居住の都道府県または市町村としてください
※都道府県か市町村かの選択は任意です
※記入にあたっては、文頭に対象としている都道府県名または市町村名を明示してください

●●(※都道府県名)で、歳入の割合が高く、観光資源も多いにもかかわらず、観光業が不振であること

  • ◆設問2:上記の課題を踏まえ、あなたが出身の都道府県知事選挙または市町村長選挙に出馬するとしたら、

 何を公約として掲げ、どのようにその課題を解決するかを書いてください (500文字以内)
公約として「メディカルツーリズムを中心とした観光業の活性化」を掲げ、旅行者数と一人あたりの平均消費額の増加を目標とする。まず、日本の人口減少及び日本への外国人旅行者の増加を勘案し、アジア諸国の中間層から富裕層をターゲットにする。●●県の観光資源の豊富さや医療水準の高さ(健康長寿・一人あたり医療費の低さ)をアピールし●●県を認知させるため、海外の旅行代理店や病院との提携、医療関連の媒体(ホームページ、SNS、雑誌など)への掲載を行う。次にコンテンツを充実させるため、特定の病院をメディカルツーリズム病院に指定・新設し、さらに医師不足に対処するため、軽度の症状の場合の気軽な受診を減らし県民の受診需要を制限する。加えて、医学部生に対する奨学金を強化するとともに国内外から優秀な医師を集める。博物館や温泉、自然公園の保有数は国内トップレベルであり、オリンピックにより世界的な認知度も高いウィンタースポーツと併せてこれらの観光資源をともに楽しめる旅行パックを組み、消費額の増加を図る。また、地理的に日本の中心に位置する立地の利便性から、他都道府県と連携して、周遊するパックも企画する。