論理と情緒と情熱と。

就活とかキャリアに関すること多め。「考えたこと」特に、キャリアに関するエントリーを中心に掲載してます。

P&GのES解説から考える外資メーカー採用の条件

スポンサード リンク

外資系メーカーの雄、P&Gです。ここの会社のESはヘビーであることで有名ですが、逆にここのESを仕上げてしまえば後々かなり楽になります。マーケティング職やファイナンス職はかなり採用人数絞っていますが、営業職とかは割と採用人数多めだった気がします。


f:id:kyuruppa:20140130232805j:plain

一般的なESの書き方はこちらを参考にしてくださいね。

【学歴別】ES(エントリーシート)の考え方 - 論理と情緒と情熱と。
ESをわかりやすい構成で書くコツ「状況・複雑化・疑問・答え」(考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則) - 論理と情緒と情熱と。

P&G 14卒ES

  • 第一志望職種への志望理由(200字以内)
  • あなたが、解決したい課題や問題について、重要な関連性のある情報(データや事実など)を見出し、その課題や問題の根源をつきとめ、解決策を提案した結果、望ましい成果を挙げた経験について述べてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
  • あなたがグループの中でリーダシップをとって、方向性を示し、グループメンバーから協力を得て優れた結果を出した経験について説明してください。(全角半角問わず500字から700字程度)
  • あなたが、これまでに著しい結果(学校、コミュニティー、仕事などを含む)を出したときのことを教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
  • あなたの周りで起こった変化によって、いつもより柔軟になる事が必要になった時のことを述べてください。その時の状況を説明し、あなたがどのように対処したのか教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
  • あなたが、異なる背景、経歴又は考えを持っている人々と、建設的な関係を築き上げ、よりよい結果を得た例をあげてください。(全角半角問わず500字から700字程度)

まず量が多いですよね。700字レベルの自己PRを5つ、しかも注意書きで可能な限り異なる経験を書くように記載されているので、これは本当に苦労します。このESの存在自体がスクリーニングポイントになってますね絶対。軽い気持ちでエントリーしようと思っている人はこのESで挫折するはず。

志望動機について

まず、志望職種の志望動機ですが、企業に対する志望動機でない点に注意。外資系に企業って総合職で採用するのってあまり多くなくて、マーケティングとか営業とかコンサルタントとか職種別に採用することが多いです。採用されたら、その職種を変更するのはほとんど稀です。日系の会社は対照的で、まず総合職で採用してから、配属を決めます。数年スパンでジョブローテーションをさせて、様々な職種を経験させることも一般的です。

なので、この「職種に対する志望動機」を書く際には各職種の特色を理解したうえで、なぜ他の職種ではなくマーケティングなのか、営業なのか、という観点が大事になってきます。そういう職種の違いというのはググればいくらでもでてくるのでそちらを参考にしてもらえればと思います(え、逃げとか言わない)

詳しい志望動機の書き方についてはこちら

面接ES全てにつながる本質的な志望動機の考え方 - 論理と情緒と情熱と。
志望理由で「成長したい」と言う就活生がいたら迷わず落とします - 論理と情緒と情熱と。

大量の自己PRについて

見てわかる通り、この企業はしつこいくらいに成功体験を求めてきます。それも1つの分野ではなく複数の分野で顕著な達成事項を書けと言ってくるのです。

これはおそらく、そういった複数の成功体験を持っている人間が醸し出すオーラや自信というのがP&Gという会社の文化の大きな要素となっているからでしょう。実際、この会社の人たちと会うと、皆さん例外なく自信にあふれていてバイタリティの固まりみたいです。特に花形であるマーケティング部門の人たちはその純度が高いです。

また、これは日系のメーカーにも言えることですが、外資メーカー出身の人は他のエリート企業出身の人と比べて、「チームで物事を達成する」という能力に長けていると言われます。それはおそらく、メーカーというのは生産統括や営業、エンジニア、ファイナンス、マーケティングなど多くの部署が一丸となって1つの物事を成し遂げていかなければならないというビジネスモデル上の構造があるのでしょう。そういった背景をふまえると、チームで成果を出す適性があると示すことが大事になってくるわけですね。これは挙げられているどの設問にも当てはまることでしょう。

あなたが、解決したい課題や問題について、重要な関連性のある情報(データや事実など)を見出し、その課題や問題の根源をつきとめ、解決策を提案した結果、望ましい成果を挙げた経験について述べてください。(全角半角問わず500字から700字程度)

この設問では特に問題解決プロセスに重きを置いて書くと良いでしょう。下記のリンクが非常に参考になります。ここで「課題」や「成果」は可能な限り数字を使って定量的に示しましょう。たぶん理系院生の人や学部生でもゼミや研究にしっかり取り組んだ人はそのことを書くといいんじゃないですかね。

面接やES全てにつながる本質的な自己PRの考え方前編:面接官の意図 - 論理と情緒と情熱と。
面接やES全てにつながる本質的な自己PRの考え方後編:ー効果的な自己PRの構造ー - 論理と情緒と情熱と。

あなたがグループの中でリーダシップをとって、方向性を示し、グループメンバーから協力を得て優れた結果を出した経験について説明してください。(全角半角問わず500字から700字程度)

ここでは、リーダーとして人を巻き込み、信頼されるということが重要なポイントになってきます。上記の通り、メーカーでは必然的に部門横断的な働き方が求められるワケですから、浅い関係でも信頼関係に発展させられるような人柄や能力が求められるのでしょう。参考のため、以下、過去の記事からの引用です。

採用担当が知りたいのはそのウラにある就活生の人間性。要は「君は本当に信頼されるような人間なの?」てこと。考え見れば商社マンってのは究極の営業マンで、仕事柄、人から信頼されるのはそりゃ必須なわけです。
ESをわかりやすい構成で書くコツ「状況・複雑化・疑問・答え」(考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則) - 論理と情緒と情熱と。

あなたが、これまでに著しい結果(学校、コミュニティー、仕事などを含む)を出したときのことを教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)

どれだけ幅のある人間であるかが問われています。あなたの人生の絶頂期はいつでしょうか。どの程度のことを「著しい」と考えるのでしょうか。これについても、その著しさが客観的にわかるようにできるだけ数字で表現してください。

あなたの周りで起こった変化によって、いつもより柔軟になる事が必要になった時のことを述べてください。その時の状況を説明し、あなたがどのように対処したのか教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)

ここでの「柔軟」という言葉が何を意味するかということは、何度も書いているメーカーでの働き方を考えればわかりますね。つまり、意見の対立や利害対立によって自分の意見や主張、立場を柔軟に変更し、部分最適でなく全体最適を生み出した経験が求められているのです。おそらく採用担当の意図としては。

あなたが、異なる背景、経歴又は考えを持っている人々と、建設的な関係を築き上げ、よりよい結果を得た例をあげてください。(全角半角問わず500字から700字程度)

これも部門横断的な働き方をするメーカーだからこそ、異なるバックグラウンドや価値観を持つ人たちの中でいかに成果を出せるか、ということを聞きたいのです。加えてグローバルメーカーでもありますから、日本人でない海外の人ともコミュニケーションをとれるかということも含意されているでしょう。

メーカーでの働くということの空気をつかむために

就活生にとって実際に働くことはどのようなことかというのはつかみづらいものですが、以下の経済小説や書籍はそういった「空気」をリアリティをもって描いています。そういう空気みたいなものがわかっていると、志望動機を考えたり選考に望む上で非常に有用なので、是非読んでみてください。