論理と情緒と情熱と。

就活とかキャリアに関すること多め。「考えたこと」特に、キャリアに関するエントリーを中心に掲載してます。

文章作成では演繹法は控えめにした方が良い(考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則)

スポンサード リンク

演繹法と帰納法という言葉を知っているでしょうか。論理学の言葉なのですが、大学入試のごく問題で出題されたり、高校数学で「帰納法」という単元があるのでなじみがある方もいるかもしれません。これは、物事の関係性を表す言葉で、「この二つ(ないし複数)のものごとはいったいどういう関係なんだろう?」という疑問に答える概念です。

もちろんこの「ものごと」は文と文の関係にも当てはまるわけです。非論理的に書かれた文章は、ビジネスの世界でロジックが重視されている以上、とても読みにくいものになってしまいます。なので、今回はそんなことにならないように、特に演繹法の使い方について考えます。

f:id:kyuruppa:20140129092311j:plain

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

この本で解説されている文章の書き方に沿って、今回も解説していきます。

演繹法ってそもそもなに?

演繹法:
三段論法とも言われるもので、「ルール」(または一般論)と「観察事項」の2つの情報を関連付け、そこから結論を必然的に導き出す思考法。演繹的論理展開とも呼ぶ。
http://kotobank.jp/word/%E6%BC%94%E7%B9%B9%E6%B3%95
より

これだけだとわかりづらいのですが、要は「A=Bってことはわかってるじゃん?B=Cってこともわかってるじゃん?だったらA=Cってことも言えるよね?」と言う考え方のことです。
たとえば、「人間はいつか必ず死ぬ。ソクラテスは人間だ。したがってソクラテスはいつか必ず死ぬ」これも演繹法の例となります(細くすると、「人間はいつか死ぬ」というのが上の「ルール」に該当し、「ソクラテスは人間だ」というのが「観察事項」にあたります)。

帰納法ってそもそもなに?

帰納法:
ルールと観察事項から結論を導き出すのではなく、観察されるいくつかの事象の共通点に着目し、ルールあるいは無理なく言えそうな結論を導き出す論理展開。
例えば、「東京都民の平均収入は高い」「神奈川県民の平均収入は高い」「大阪府民の平均収入は高い」という観察事項から、「大都市圏の住民の平均収入は高い」というルール(一般論)が導かれる。また、「C社の技術資産はすばらしい」「C社の株価は非常に割安だ」「C社の創業社長は跡継ぎもなく、引退したがっている」という観察事項からは、「C社は買収・合併のターゲットになるだろう」という結論が導かれる。
http://kotobank.jp/word/%E5%B8%B0%E7%B4%8D%E6%B3%95
より

帰納法は演繹法とは逆の考え方で、具体例を並べていって、そこに共通していると思われる一般的な法則を見いだす考え方のことですね。

演繹法を使うべき場所

演繹法の使いやすさについては「考える技術・書く技術」においても次のように述べられています。

演繹的理由づけは、帰納的理由づけよりも組み立てやすいためでしょうか、ものを考えさせるときに一般的に好んで用いられる思考パターンのようです。問題解決の際には、とりわけ好まれるようです。したがって、自分の頭で考える場合も、自然とこのパターンを用いようとします。

しかし演繹法は律儀に使うと、論理関係の全てのステップを記述することになり、非常にまどろっこしくなってしまいます。演繹法は便利な用法ではあるのですが、使い方を考えなければなりません。文章構造に置いて上の階層で使うことは極力避け、使うならば下位の構造で使うことが有効な使い方となります。

たとえば、上位の構造で演繹法を用いた場合を紹介します。
f:id:kyuruppa:20140128102358p:plain

このように演繹法で書くと、3段落目で原因A2を確認しているときに2段落目に戻って問題A1を確認しなければなりません。他のポイントについても同様です。これって非常に面倒ですよね。これを帰納法で書いた場合、
f:id:kyuruppa:20140128103141p:plain

非常にわかりやすくなりますよね。演繹法は、たとえばA1の問題についてより詳しく述べたいときにそこで使うとわかりやすい文章が書けるのです。