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おおかみこどもの雨と雪を見ましたので感想と考えたことを。

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劇場で公開されているときは自分の周りではけっこう評判が良かったのですが、見たいなあと思っているうちに公開期間が過ぎてしまっていたので、結局見れずじまいに。映画でも見ようかとTSUTAYAさんにぶらっと入ったら目に入ったので借りてきました。

ネットでは評価について賛否両論みたいですが、僕も感想を。

作品の出来について

さすが映像のクオリティは高かった。次の宮崎駿と言われている細田守監督だけあって、特に風景描写の繊細さとか細かさというのはよく描いているなあと感心しました。決して実写ではないので、写真みたいな現実を再現できるわけではないんですけど、それに少しでも近づけようとしているところが、アニメーションの良さとリアリティの見事な融合につながっていました。しかし残念だったのが、こういう作品で、CGとか、全体を通ずる「アニメーション」以外の表現技法使ってるんだろうなあっていうわかってしまうと興ざめしてしまうんですよね。基本は「アニメーション」の世界観なのに、そこに異物が入り込んでくるというか。これがアニメーションの限界なのかなあ。

そして、これはたぶん脚本のせいだと思うんですけど、ところどころ「あれ?」っていうところがでてきて、そこにリアリティの欠如が見えてしまい、微妙な気持ちに。この流れで、こういう環境だったら、この登場人物がこういう行動とるのはおかしいだろう、というのがちらほら。酒飲みながら見てたんですが、酒がなかったらもっと気づいていたんだろうか。

映画を見た上で考えたこと

この映画では扱っているテーマが「子育て」ということで、男性で結婚もしていない自分にとっては実感がわきづらく感情移入しにくかったです。まあでも、それがゆえに子育てするってこういうことなのかなあ、と追体験できたのはよかったです。たぶん、僕が体験できていないからこそ、子育ての大変さとかうれしさとか感動みたいなものをわからなくて、そういうものを自分の体験として持っている人だったら共感できたんでしょうけど、こればっかりはしょうがないですねえ。

そして、純粋に、「家族って良いなあ」って思わせてくれました。自分も家庭を持ちたいなと思わせてくれる、観賞後にそんな感想を頂かせてくれました。ただ、子供を持ちたいというよりかは、結婚して家庭を築きたい、という思いの方が強くて、これもやはり自分が子供を持った経験がないからなんでしょうか。でも、おおかみおとこと花の愛の中で雨と雪が育っていくのは、見ていて心温まりました。

子供の自立を肯定的に捉え、最終的に受け入れる「花」。子育てにおける達成感。「子育て」という責務を果たしたところにこの映画のクライマックスはきっとあるんだろうなあ、と、そういう描き方をされています。その目標を達成したゴールとして、雨と雪の自立を受け入れることが描かれています。全体を通しても感じましたが、今回の「花」は母親という役割を忠実に再現して、その理想像のような役回りをしています。彼女の行動規範が「理想の母親」の価値観に乗っ取っているみたいで、逆にリアリティがなく感じられてしまいました。人間なのですから、「こうあるべき」という理想の姿と、「でもこうしたい」という自分の欲望は両方持っているはずです、その中でのジレンマというか苦悩というか、その辺が描かれているとより人間臭い作品に仕上がったのでしょう。ここでの「花」は「自分の欲望」の部分があっさりしすぎていました。自分の子供の自立させるということは、親元を離れるということであり、母親の花にとってもつらいことなはずなのですが。


まあ、現実社会としては、そうやってあっさり子離れしてくれる親のほうがいいんでしょうけど。