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ホリエモンに生じたコミュニケーションの変化-「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」を読んで-

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仮釈放後のホリエモンは、何だか以前と違う気がします。これは仮釈放された直後の記者会見の様子ですが、なんだかとげが少なく感じられます。


ホリエモン仮出所記者会見第一声(2013年3月27日) - YouTube

かなり言葉を選んでいるような印象を受けますし、自分のコミュニケーションスタイルに注意していることが伺えます。


堀江貴文は「信用」をどう思うのか? - YouTube

これは2011年時の会見です。会見の性質が違うので、仮釈放記者会見と単純に比べることはできませんが、釈放時の方が言葉を選んでる感が伝わってきますね。


ホリエモンの変化

ひとつだけ変わったところを挙げるなら、コミュニケーションに対する考え方だろう。(中略)僕はひたすら、「ファクト(事実)」だけにこだわってきた。(中略)しかし、理詰めの言葉だけでは納得してもらえないし、あらぬ誤解を生んでしまう。そればかりか、時には誰かを傷つけることだってある。僕の考えを理解してもらうには、まず「堀江貴文という人間」を理解し、受け入れてもらわなければならない。言葉を尽くして丁寧に説明しなければならない。その認識が完全に抜け落ち、多くの誤解を招いてきた。

刑務所生活を送る中で、以前と変化したところを述べている中で、堀江氏はこのようなことを言っています。今までは結果を出せば、いいと思っていた、論理的に正しいことが正義だと思っていた。でも、そうじゃないということに気づいた。

刑務所に入る前の彼はビジネスでも実績を挙げていたし、能力もあった。知名度もあった。なのでその「事実」が、正しくさえあればいいというコミュニケーションが寛容されいたのでしょう。少々刺々しいことを言っても、何にせよ正しいし、それに堀江さんがいってるんだから、と。

でも、刑務所では全くちがいました。ホリエモンのメルマガでは刑務所時代の生活を紹介するコーナーがあるのですが、そこをみていると、なぜコミュニケーションが変化したのか、ということがよくわかります。

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硬直したヒエラルキー

刑務所では完全な年功序列。入った順に序列が決まって、長くいる人が絶対偉い。そんな序列制度の中で、何か反論してもめ事を起こそうものなら懲罰対象になり、仮釈放が延期になるか下手したらなくなるかもしれない。そういった状況の中では自分を殺して、今に人とうまくやっていくか、人間関係を調整し、組織の中で生きていくかということが求められるのです。

また、これは完全に僕の推測ですが、刑務所では今までホリエモンが会わなかったような人たちと一緒に共同生活をせざる得ない状況に置かれたのでしょう。しかも、例えば手足の不自由な老人を介護しなければならなかったり(彼の役割として)、その場合は本当に気をつけて、相手に配慮してコミュニケーションをとらなければなかなか伝わりません。正論を言うだけの場合だったら、相手を激高させてしまうこともあるでしょう。

そうやって、ある種理不尽な環境に置かれることで、ホリエモンは「相手に合わせる」ということを学んだのでしょう。

僕自身の経験からも、正論だけ言うのではダメだ、ということは身にしみて感じています。相手にわかるように、納得されるように、言葉を尽くして、態度をとらないと、正論でもなかなか通らないものです。同じことを言っていても、コミュニケーションスタイル次第で認められる場合とそうでない場合があるということを何回も経験してきました。

大組織で働くということ

ホリエモンが置かれた刑務所の環境は、(いわゆる日系大企業などの)大組織での働き方と同じようなものを感じます。「自分を管理する人がいる」という状況では、何らかの形で自分を殺し、ある意味、組織を活かすためのコミュニケーションを行わなければならないということでしょう。
彼は今までサラリーマン経験がなく、上司を持ったことがなかったのでこの経験は新鮮だったのかもしれません。